今年初めに文庫化された、佐々木譲の直木賞作「廃墟に乞う」が、書店でいまだ平台展開されています。売れているんですね。
北海道警の敏腕刑事だが、“ある事件”で心身を疲弊させ休職中の主人公が、警察官ではあるが部外者的な立場で、私立探偵のように事件の真相を探りつつ、解決への橋渡しをしていくという、6話各50ページほどの短編連作集です。比較的平易で柔らかい文章が、ちょっと肩肘張って“組織”に対し反骨精神をみせつつも、決して常軌を逸脱することなく冷静な主人公・仙道の人柄を演出していると思います。
舞台となるのは道内各地。実在の地名を明記するもの、伏せた話、両者ありますが、その場所の風景を容易に想像できるだけの土地勘は、持ち得ております。特に冒頭の「オージー好みの村」。この話の舞台は、倶知安町のひらふスキー場の近くという設定。パブ働く女性従業員が殺され、オーストラリア人オーナーに容疑がかかりますが、このパブの立地はまさに、私が4年前に研修でお世話になったアイリッシュパブ。オーナーがオージーというのも同じ。不思議な感覚とともに、当時の記憶が蘇りました。









